ボディピアス推進本?!【ミレニアム】

数ヶ月前から毎夜毎夜、数ページづつ読み続けてる本、ミレニアム
本当は仕事も遊びもほったらかして一気に読んでしまいたいところだが、面白すぎて読み終えるのがもったいなくって、ちょっとづつ、頭に場面を描きながら大切に読んでいる。ちなみに只今、3作目の上巻中盤。
この本、もう読まれた方も多いと思うが、スウェーデン発のミステリー小説3部作で、全部で分厚い単行本が6冊!!読み応えたっぷり。全世界で2100万部を突破する売れ行きの世界的ベストセラーで、本国のスウェーデンでは映画化もされた。日本でも先月から公開している。明日は水曜、映画館レディースデイで半額だし、私も見に行っちゃおっかな~。いやぁ、読み終わってからにしよっかなぁ…

そもそも私がこの本を読みことになったきっかけは、去年の夏に私がノルウェーに行く際、この家に泊りがけでキャットシッターをしに来てくれた母が夢中になってミレニアム1部の下巻を読んでいたことだ。
母の話しでは「かなり過激だけど、とにかく面白い。さすが色んな意味での先進国・北欧って感じよ。ノルウェーに行くなら隣の国の話しだし、私もうすぐ読み終えるから、旅のお供に持って行くといいわよ。それにね、主人公のリスベット・サランデルがあなたと同じような場所にいっぱいピアス着けてるのよ。しかも、背中にドラゴンのタトゥしててね、それもあなたの猫のタトゥと同じような場所なの。顔はのっぺりした東洋人風っていうし、しかもしかも(笑)北欧人なのに身長150cmで体重が40kg前後の華奢な体つきっていうから、読んでていつもあなたのこと思い出しちゃって(笑)しかもね、ぺチャパイらしいのよ(爆笑)」…。

実際に私が読んでみると、ピアスだタトゥだ チビだぺチャパイだ(余計なお世話です)…っていう身体的な共通点は確かに多々あるとしても、この主人公リスベット・サランデルと私をかぶせるというのは親バカ以外の何者でもないほど、彼女は魅力的だ。(まあ、親とはそういうものだ…)
なにせ彼女がいることで他のミステリー小説とは全く違う卓越した面白さがあるんだから。
もし彼女が主人公じゃなかったら、まあ、よく出来た普通のミステリーだったことだろう。


 ↑ こちらミレニアム1部~ドラゴンタトゥの女~の上巻の表紙
確かにこれだけ見てるとドラゴンと猫という違いはあるにせよタトゥのある位置は同じだし
母親が娘を思い浮かべても仕方ないか…

 

↑ こちらミレニアム2部~火と戯れる女~の下巻の表紙
更に主人公リスベットはこんな耳をしているもんだから …

全世界で2100万人以上が読んでいるとはいえ、あまりこういう見方をしている人はいないかもしれないが、ミレニアムはある意味「ボディピアス推進小説」だと思う。
というか、ミレニアムの大成功を見ることなく享年50歳で死去してしまった筆者のラーソンは、相当な人道主義だったというから「ボディピアス推進」というよりかは、見た目で人を判断したり差別したりすることにとても抵抗があったのだろう。そんな筆者ラーソンの考え方が形となって表現されたのがミレニアム主人公のリスベット・サランデルなのだと思う。 

リスベットは前述の通り、ボディピアスにタトゥ、北欧人にはありえないほどの華奢な体型にのっぺりとした子供ののような顔つき、更に性格も気難しく協調性・社会性ゼロときている。ところが仕事をさせたら天下一品、一般的な社会性はないものの彼女なりの道徳観を貫いていて、その道徳観は時にはこの世の法に触れるものかもしれないけれど、決して「神の法」に触れるものではない。
そんな彼女には、彼女と深くかかわることになる登場人物の全てが魅了されていく…
主人公リスベットには筆者ラーソンの「ヒーロー像」が隠されているような気がする。

ミレニアムはただ単に最高に面白いミステリー小説というだけでなく、ボディピアス推進派で、「ボディピアス&タトゥ=ワルで常識もなってない!」みたいな馬鹿げた日本社会の古い固定観念を少しづつでも変えていきたい私にとって、とてもありがたい小説だし、何より自分もボディピアス界で生きる人間として「やっぱりあの人は…」と言われないよう私の考える礼儀正しさを貫いていこうと確信させてくれた一冊でもあった。

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